【ADHD】遅刻しやすい脳みそ

遅刻しやすい脳みそ

ADHD当事者が最も社会性を損ねる要因のひとつが、度重なる遅刻。
余裕を持って準備をしていたはずが、いつの間にかぎりぎりの電車に乗るくらいのタイミングになり、その電車さえ目の前で行ってしまったり。自分でもなぜ遅刻になってしまうのかよく分からないし、別に間に合わなくてもいいやといういい加減な気持ちでいるわけでも、まして約束の相手を軽んじているわけでもないのです。
むしろ罪悪感が募り、怠惰な自分を責め、何より相手に責められ、としているうちに二次障害を発症する当事者も多くいます。

それでは、なぜADHD当事者の遅刻は治らないのでしょうか。ADHD当事者の遅刻の原因は、ほとんどが怠惰や気合いが足りないといった「気をつけることで直せる行動」ではありません。

脳のはたらきが、遅刻を誘発しやすい次のような特性を強く持っているためです。

  • 衝動性
    • 特にスマホが生活に浸透してからはこれが格段に影響大。見るつもりはなかったのに相手からの連絡と思って通知を開いたら、そのとき目にとまった情報にアクセスしてしまったり。かと思うと、出かける直前に気になった場所の片付けを始めてしまったり。
  • 不注意
    • ADHDの根幹をなす特性による圧倒的な忘れ物(事)率もやはり遅刻をもたらしがち。忘れ物はそんなに多くないよね?と思われていても、化粧や着替えを忘れて出ようとして慌てて済ませたり、せっかく早く出られたのに二度忘れ物を取りに戻って結果遅刻、というケースが頻繁に起こります。
  • 時間の算段ができない
    • 何にどれくらい時間がかかるかが簡単に把握できないので、逆算も不可能。だいたい毎日、出かけるまで2時間かかるので、余裕見て3時間前に起きるなど、本人なりに工夫をしている人は多いです。
  • 先延ばし癖
    • 算段ができないのが根本的原因なのですが、全体が分からないからなんとなく最初のひとつに手をつけられない。遅刻に限らず、社会性を損ねる要因を山ほど生み出すひときわやっかいな特性。

算段ができないことや、不注意による忘れを減らせるような行動療法はいろいろあり、例えばタスク細分化ツールを利用したり、ルーティンのリストを作ったりして対応しています。しかし、不注意そのものやざっくりと算段ができないこと自体は、大人になって背がそれ以上大きく伸びることはないのと同じで、根本的に変わることがないため、なかなか人並みに行動できるようになるのは難しいのが現実。

ADHDの「遅刻しやすい脳みそ」を飼い慣らしながら、自他ともにうまく付き合っていくというのが、2020年における最適解ではないでしょうか。

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